林業 | 2016年9月29日
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林業と聞くと、少し前までは人里離れた山奥で行うハードワークという、負の側面ばかりが目立つ仕事でした。
ところが近年、林業に従事する若者が増えつつあり、少しずつ風向きが変わってきているようです。
そこで今回は、最近の林業事情について注目してみました。
人は古来より衣食住のほとんどを自然からの恵みを受け、食料、炊事、暖、住居、道具の作製など、生活を営むために山や木と関わり利用してきました。
日本は国土面積の約3分の2(約2,500万ha)を森林が占める世界有数の森林国です。
そのため日本では、住宅をはじめ、おひつやしゃもじ、箸やお椀、酒や味噌を入れる樽、風呂桶、焚き木や炭などの燃料に至るまで、森林の恵みに依存して暮らしていました。
その大切な森林を育み、木材を供給する役目を果たす林業は、とても重要な産業のひとつでした。
ところが1964年に木材輸入が全面自由化されて以降、価格の安い輸入木材に対抗できず、国内の林業は衰退の一途をたどってしまいます。
その日本の林業がいま、戦後造林された人工林を中心に森林が本格的な利用期を迎えていること、2003年に林野庁がはじめた「緑の雇用」事業が効果を上げていることなどによって、再生の兆しを見せているのです。
このように私たちの生活に深く関わっている木ですが、何もない所に生えて育つものではありません。自然林、人工林、広葉樹、針葉樹いずれも寿命がくれば枯れてしまいますし、人間の都合だけで伐採してしまえばその分木は減少していきます。
そのため、木を絶やさないために植林や手入れをしなければなりません、その役割を担うのが林業なのです。
最近では、発電技術や環境整備などの目的において、林業が活躍する幅は広がりつつあります。
林業の果たす役割は今後もますます大きくなり、さらに魅力的な職業になっていくと言えるでしょう。
林業が自然や環境と深く関わる仕事であることを否定する人はいないと思います。
しかし、林業が山間地の環境を維持するだけでなく、はるかに広範囲にわたる環境保全に役立っていることをご存知の方は、あまりいないのではないでしょうか。
山間地の森林がきちんと手入れされていないと、豪雨や地震などによる土砂災害が起こりやすくなります。
山から流れ出た土砂は川に堆積し、水を濁らせたり川の流れを変えてしまったりします。
土砂が堆積した川では洪水が起こりやすくなり、ときには魚の餌となるプランクトンの生育にも影響を及ぼし、漁業にダメージを与えることにもつながるのです。
このように林業は、山間地の森林を豊かに育むことによって、国土の、ひいては地球環境の保全という重要な役割を担う産業であると言うことができます。
林業関係の仕事に興味を持たれたということは、自然や森林に対して少なからず興味を持っているからだと思いますが、
実際の“林業”という仕事についてどれくらいご存知でしょうか。
林業は、木を育て、収穫する仕事です。
一連の作業には、森林を整備し保全を図ることも含まれ、山の崩落などの災害防止、土壌流出防止などの環境問題にも関わる大切な仕事です。
具体的な作業としては、苗木づくり、苗木を植える前に雑草などを取り除く地拵(じごしら)え、植栽、下草刈り、木に巻きついたツタなどを切るつる刈り、余分に生えた灌木(かんぼく)などを伐る除伐(じょばつ)、枝打ち、間伐(かんばつ)、収穫のための主伐(しゅばつ)、収穫した木を利用したい長さに切る玉切り、搬出・運搬などがあります。
林業に特有な職種をいくつかあげてみます。
・林業関係職員
中央省庁の林野庁や、地方自治体の林業事務所の職員です。
治山や林業の振興業務にあたります。
公務員なので、公務員試験を受験する必要があります。
・林業系学校の先生
林業専門学校や林業系大学の教員です。
・製材業、木工制作
木を切って角材や板材などをつくります。
また、家具などをつくって販売するメーカーもあります。
・測量士
山や森林の調査や測量を行います。
厚生労働大臣指定の国家試験に通る必要があります。
試験には、測量法規・多角測量・水準測量・地形測量・写真測量・地図編集・応用測量などから出題されます。
・建築士、造園業者
木を活かして庭園づくりを行います。
建築士になるには建築士の資格が必要です。
・公園管理業者
遊歩道の整備や外来種の駆除など行って、公園を管理します。
・森林作業員
苗木づくりや間伐、収穫のための主伐など、林業の最前線で働く作業員です。
森林の保全や林業に関わる事業を共同で行うために設けられた森林組合や、株式会社などに所属して働きます。
・製材工場職員
森林から切り出された丸太を、角材や板に加工する仕事です。
・森林管理局職員
日本全国の国有林を管理している国家公務員です。
日本全国を7ブロックに分けて管理しています。
業務はただ森林を管理するだけでなく、災害対策、自然環境の保全、森林利用(保健、レクリエーション、文化)、水源管理など多岐にわたっています。
・樹木医
1991年に林野庁の国庫補助事業としてはじまった、一般財団法人日本緑化センターが認定する民間資格です。
樹木の診断及び治療をとおして落枝、倒木などによる人的・物損被害の抑制や、後継樹の保護育成などを行います。
2003年に林野庁がはじめた「緑の雇用」事業が少しずつ効果を見せ、2014年には林業へと足を踏み入れた若者が主人公の映画が公開されるなど、林業をめぐる状況はいま変わりつつあります。
現場では、ハーベスタ、プロセッサ、フォワーダといった、高性能林業機械も導入され出しており、作業環境も大きく改善されているようです。
上記以外にも、林業に関する職種は数多くあります。
民間の林業会社などでは独自の職種がある場合もありますので、チェックしてみると良いでしょう。
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