林業 | 2018年5月30日
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重機などを用いて皆伐後の土地を掻く「地掻き」処理は、苗木を健全に育成するため、もしくは皆伐後の山の機能を健全に保つため実施されます。
地掻きが行われる時期や重機を使うメリットなどについてご紹介いたします。
伐採跡地の枝や切り株を取り除いて土地を整え、新たな苗を迎えるための「地拵え」と言います。「地掻き」とは地拵え作業の一環で苗木の生育を妨げる腐葉土層や、ササ地などを重機などで掻き起こします。地掻きを行う事により、広葉樹の萌芽の再生を期待する事ができ、針葉樹林のみで構成された日本の人工林を天然林に近い形で更新できる手法として注目を集めています。
地掻きは地拵え作業の一環として実施されるため、手順的には地掻きが行われる時期は皆伐後から新しい苗を植林する段階で実施されます。
ただし「針広混交林」を更新する場合はその限りではなく、伐期が近づいた人工林の中、もしくは樹冠の下で地面を掻いて多種の稚樹の更新が完了してから皆伐を行う、皆伐と地掻きを組み合わせた手法をとる人工林もあります。
近代林業の問題点として、伐り捨て間伐や管理者のいない山林の荒廃など挙げられますが、近年では人工林の伐採後に苗木の植林を行わない「再造林放棄地」が増えてきています。皆伐後に山林を放棄すると、切り株や枝がそのままになるので土地が荒廃し、山の機能である水土保全機能やそれに伴う生物多様性の低下が危惧されています。
植林をしなくても天然更新で人工林を天然林に蘇らせるのが理想ですが、全く人の手を介さずの天然更新を期待するのは厳しい環境でもあります。
そこで、重機を使用して腐葉土などを効率よく取り除く「地掻き」の方法が注目されています。
例えばカラマツなどは下層に広葉樹が多く混生している場所があり、皆伐後に広葉樹の萌芽を確認することができます。
しかし自然に任せたままだとうまく天然林の育成にはつながりません。
重機を使って地掻きをすれば、萌芽の発生定着を促進することが期待され、有用樹種を含む多様な樹種の混交林を更新するために有効な手段として期待されています。
株式会社ヨシカワでは石川県森林管理課林業試験場の要請を受け、共同で「地掻き」用のバケットアタッチメントを製作・開発しました。
この件は新たな地掻きの方法として北國新聞でも取り上げられています。
地かき処理はカラマツ伐採跡地に多様な更新木をもたらす
https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/saizensen/2015/20151224-04.html
伐採前のかき起こしによる多様な樹種の更新
http://f-segyo.main.jp/backnumbers/news/news9812/sato_rep.htm
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