林業 | 2018年1月31日
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植林には木材生産のための「産業植林」と環境を守るための「環境植林」があります。それぞれの植林に目的がありますが、「木を育てる事」「森林を保全する事」には時間がかかるため、短期的なメリット・デメリット、長期的なメリット・デメリットがある事も否めません。
植林によるメリットとデメリットはどのような事があるのでしょうか。
日本においての植林は、戦後の「拡大造林政策」抜きには語れません。
昭和20年代~30年代に、戦時中の乱伐や戦後復興による木材不足により、荒廃した山の造林を行うため、「拡大造林政策」として広葉樹からなる天然林に、育成が早い針葉樹を植樹し、人工林へと置き換えていきました。
しかし、たくさん植林されたこれらの木々が成長するまでの間に、外国製の安価な輸入木材の需要が高まりました。その結果、林業の業界全体が落ち込み、後継者不在のまま山が放置され、荒廃してしまったり、増えすぎた杉の木により、花粉症という現代病を発症するというデメリットが目立ちました。
現在では過去の拡大造林政策を反省し、伐採後に植林する苗木の配列を考慮したり、針葉樹に交えて広葉樹を植えたりと、「山を保全するため」の植林活動にスライドしているので、植林のデメリットはメリットへと転じています。
日本の林業は「産業植林」のサイクルで山とともに生きるスタイルですが、海外では木材を生産するための産業植林というより、根こそぎ伐採されて生態系の危機に瀕している山の保全のために植林を実施する、「環境植林」がメインです。
環境植林の短期的なメリットは、ユーカリやアカシアなどの早生樹を植林することにより、山の保全を早める事にあります。しかし土地によっては、ユーカリやアカシアはかえって生態系を壊すこともあり、植える木の選定が課題となっています。
ただ丸裸な土地よりも、少しでも緑がある方が山としての機能を取り戻すこともあり、植える木をうまくチョイスできればメリットも大きい事業です。
環境植林を実施することによる長期的なデメリットは「結果が見えにくい」という点にあります。
もともと木の生産で生計を立てていた人たちならば、環境植林で植える苗木は、生産性が少ないものが多く、長い目で見て生産性のない木を誰に管理してもらうかという問題が各所で発生していました。
長期的な植林にメリットを見いだすために「アグロフォレストリー」を導入する試みもあります。
アグロフォレストリーとは森林の保護と収入となりえる作物栽培の両立を図ることで、東南アジアを中心とした地域で広がりを見せています。
樹木の成長だけ見守るのでなく、その間に作物を育て、地域を潤わせることで長期的なメリットを得ることができるのです。
植林のメリット
http://tyre.dunlop.co.jp/enasave/green/shokuju/merit.html
植林の問題点
http://www.jca.apc.org/unicefclub/research/2000_oda/oda_7.htm
植林のデメリット
http://www.jatan.org/jn/JN9911PLA.html
戦後の拡大造林政策
https://www.shinrin-ringyou.com/ringyou/
アグロフォレストリーについて
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