林業 | 2017年5月26日
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林業の作業工程の中でも重要とされる「間伐」。
健全な人工林を育成するには、間伐が重要と考える方も少なくありません。
今回は、その間伐のメリット(利点)やデメリットについてみていきましょう。
木がまっすぐ伸びた森林に太陽光が惜しみなく降り注ぎ、青々と茂った下草に虫が命を育み、鳥や山の生き物もそれぞれの生態系を守って暮らす…「健全な山」というとそんなイメージがわくのではないでしょうか。
間伐は15年~30年ほど育った木を間引く作業ですが、この間伐を実施しないと上記のような健全な山の保持は難しいといえるでしょう。
間伐を実施し、適度な間隔で枝も根もしっかり育つ環境を作ることは山ばかりでなく、雨水を吸収し、川の水へと還元する涵養機能も正常に保てるため、街で暮らす人々の水源にもなります。
このように間伐を実施することは、山にとっても人にとって大きなメリットがあるといえます。
木や森林を守るためにメリットの多い間伐ですが、一方でデメリットもあります。
間伐後の木は木材に加工され「間伐材」として市場に出回りますが、間伐材の受け皿を各所で模索しているのが現状です。
ひと昔前ならば間伐材は工事現場の足場や割りばしなどに利用されていましたが、足場の素材が金属に代わり、割りばしも安い海外の木材に押され、市場に受け入れづらくなったのが実情の様です。
それと同時に林業全体で高齢化や就業者減少による人手不足が起こり、間伐が行われない森林や、間伐をしても木材を運び出さない「伐り捨て間伐」となっている場所もあるようです。
各自治体では新しい間伐材の利用方法として、環境バイオマスへの流用や間伐材を使った住宅素材などの開発をして市場の活性化を狙う他、高性能機械を導入しての間伐を実施してコスト削減するなど対策に乗り出しています。
間伐をすると健全な森林を保つことができるというメリットをご紹介しましたが、間伐をしないとどうなるのでしょうか。
木は植林をするとき狭い間隔でたくさん植えるようにしています。
その中で長い年月の間、折れたり育たなかったりした木は除伐をされますが、それでも山はスカスカになることはなく、15年を過ぎると枝葉が伸びて木同士が大混雑となります。
通常この状態で間引いて太陽光が地表に降り注ぐようにしますが、間伐を実施しないと太陽光は遮断され、光の届かない地表では木の成長そのものがストップします。
根は細り、土壌も緩むので台風や集中豪雨などが来ると土砂災害などが発生しやすくなります。
また、雨水を吸い込まなくなるので涵養能力も低下します。
森林が健全な環境でなければ人々の暮らしにも影響を及ぼしますので、間伐は必要な作業といえるでしょう。
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