林業 | 2016年11月4日
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豊かな山林に恵まれているにもかかわらず、1980年代以降、日本の林業は衰退の一途をたどってきました。
その林業が最近、再び活気を取り戻そうとしています。
しかし、その流れを確実なものにしていくためには、林業自体を大きく改善させる必要があります。
そこで今回は、林業を効率化する方法について掘り下げてみたいと思います。
日本の林業は1980年の約1.2兆円をピークに、長期にわたり減少を続け、2012年には3,917億円にまで落ち込んでいます。
このうち木材生産の産出額は、1980年の約1兆円から近年は2000億円程度と、ピーク時の2割程度にまで減少しているのが現状です。
一方近年、我が国の森林は毎年約8千万立方メートルずつ蓄積が増加するとともに、2017年には50年生以上(高齢級)の人工林面積が、全体の6割に達すると見込まれるなど、資源として本格的な利用が可能な段階を迎えようとしています。
この好機を確実にとらえ、林業はいま、健全で安定した経営の確立に向けて、徹底した効率化が求められているのです。
我が国には零細な所有規模の私有林が多く、それが効率的な林業経営を妨げる大きな要因になっています。そこで隣接する複数の森林所有者が集まって、路網整備や間伐などの施業を共同で実施する施業の集約化が進められています。
路網(森林内にある公道、林道、作業道の総称)を整備することによって、作業現場へのアクセスが向上したり、機械の導入が行いやすくなったりという効率面の向上が図れます。さらに労働災害時の対応時間の大幅短縮など、安全性の向上にもつながります。
林業の生産性を向上させるためには、立木の伐倒(伐木)、木寄せ(林内に点在している木材を林道端等に集める作業)、枝払い及び玉切り(造り材)、林道沿いの土場への運搬(集材)、椪積(はいづみ:集材した丸太を同じ材種や同じ長さごとに仕分けして積む作業)などの各工程で、林業機械を有効に活用することで、生産性を大きく向上させることができます。
我が国では、育林過程全体に占める造林、保育(下刈り・つる切り・除伐・間伐など植林後から主伐直前まで行われる作業)にかける経費の割合が高いことから、これらの作業の効率化が進められています。また、コンテナ苗や大苗の導入、低密度植栽等の取り組みも各地で研究されています。
林業の効率化を進めるためには、人材の育成も重要な意味を持っています。そのため施業集約化を推進する「森林施業プランナー」を育成する研修や、路網整備を担う「林業専用道技術者」向けの研修、路網作設オペレーターの養成などが実施されています。
林業はいま、将来性の乏しい斜陽産業という従来のイメージから大きく変わろうとしています。機械化が進み、効率アップが図られた新たな林業が、若者の注目を少しずつ集めるようになってきていることが、それをはっきりと示しています。
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